ウェブは菩薩である

『ウェブは菩薩である』(深見 嘉明著)


ウェブは菩薩である 1575円 218p 07.08.08


Contents
【プロローグ】 ウェブの本質は細部に宿る
【01】 「才能の無駄遣い」というラベル
【02】 空気の読めないグーグル先生
【03】 プッシュからプル、ふたたびプッシュへ
【04】 代理人メタデータで動いている
【05】 フォルダを捨て去ったグーグル
【06】 アマゾンはワタシよりもワタシの好みを知っている?
【07】 合コンでのアドレス交換とマイクロフォーマットの意外な関係
【08】 「これはひどい」で共振するコミュニティ
【09】 人の目線でものを見る方法
【10】 デルのリアルとアマゾンのリアル
【11】 意図せざる協働
【エピローグ】 メタデータが世界を変える
謝辞/解説(國領二郎)/ブックリスト


本書は、ウェブ2.0やウェブ3.0については全く解説してしていない。 しかし、ウェブの変化はその創生当初から同じ方向に進んでいるから、今ウェブで生じている現象、そしてこれから先ウェブで実現されること、さらに現実社会に及ぼす影響まで見通すことのできる見取り図を手に入れていただけると自負している。


Information
ソーシャルサービス
コンテンツを探したり、その行為に関わる情報や、その情報を提供するためのアーキテクチャにウェブの進化の本質を理解するためのヒントがある。 ウェブには、今や膨大な数のコンテンツが公開されている。 そこで必要になってくるのが、分類するための機能だ。 計算という行為は、「与えられた選択肢がある」「ある基準をもとに選択する」というふたつの要素から成立する。 しかし、選択という行為には計算できるものと計算できないものがある。 そこで、集積情報を使う。 ウェブにあるコンテンツは「サーバ」と呼ばれるコンピュータに保存されている。 これを利用するために、URLを指定、もしくはURLが埋め込まれたリンクをクリックするという形で、このコンピュータにリクエストを出す。 すると、サーバは、自身が持っているコンテンツを送り届けてくれる。 つまり、コンテンツの利用履歴が、サーバにどんどん蓄積されていくことになる。 利用者自身がその恩恵を受けることもできるが、同時に他の利用者に対して履歴というメタデータを提供している。 そうやって、多くの人により負担をかけずにより多くの機会にメタデータを生成してもらいプラットフォームを形成している。 世界中で積み重なっていくことで、みんなの日常が効率的になっていく。 人間の代わりに選択肢を絞り込んだり、選び取ったりしてくれる役割をコンピューターに担わせようとするという考え方は、コンピューターが登場して間もない頃からあった。 ウェブの進化によって到来しようとしているのは、勝者と敗者が歴然と区別されるゼロサムゲームではなく、自分の意思に従って自由に行動しながら共有する価値、つまりコモンズを拡大していくプラスサムゲームではないか。 こういったやり方を現実世界にそのまま持ち込むというのは無理な点があるかもしれないが、そういったアーキテクチャについて考えることは有効なのではないかと考える。 


About author
深見 嘉明
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了
慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)
修士(政策・メディア)
株式会社電通リサーチにて通信・自動車・メディア企業等に対するマーケティング・リサーチ・コンサルティングに従事
ウェブリサーチ、ウェブをベースとしたマーケティング・インテリジェンスサービスに関する新規事業開発に携わった後、
慶應義塾大学大学院にてウェブコミュニティ、CGM集合知メタデータを媒介にしたコンテンツ流通構造に関する研究を行っている
HP deepen 〜Yoshiaki FUKAMI’s view