『論文の書き方』 [★★★★☆]
おはようございます。
今日は、『論文の書き方』 (小笠原喜康著) を紹介したいと思います。
1365円
論文を書く機会なんて なかなかありませんね。
ですから、読者を選ぶ と思われるかもしれませんが、
この本は、「こうすれば 良い論文が書ける」 ということではなく、
「最低限自分の考えをわかってもらう書き方」 の説明に重点を置いています。
ですから、人に提出する文章を書く際 全般に言える方法論として活用できそうですね。
・著者略歴
小笠原喜康
筑波大学大学院 博士課程教育学研究科 単位取得退学
教育学博士
現 日本大学文理学部 教授
著書 『議論のウソ』 など
HP http://oggo.jp/hxo/
・目次
はじめに
1 七転八倒
1. 陣痛の始まり
2. 論文「してはならない三原則」
3. 自分を見つけだす
2 「和をもって貴しとなす」
1. 「和はどこからか」
2. 「筋肉質の政府」
3. 小同大異
4. 問題を見つけ出す二つの方法
3 「風が吹けば桶屋がもうかる」
1. こじつけ因果関係
2. 「わかりやすさ」の二つの種類
3. 論理を作り出す二つの方法
4 わかりやすさをつくる
1. わかりやすさは どこからくるのか
2. 全体の組み立て
3. つなぎ
5 論文三段論法
1. 不完全のままに
2. はしょる
3. ごまかす
4. きりあげる
6 中身より見た目
1. わかりやすさを作るレイアウト問題
2. 見た目にこだわる
7 実感的「わかる文章三原則」
1. わかりやすい文章の原則
2. 無限半切の原則
3. 重複禁止の原則
4. 執拗通読の原則
8 私の論文論
1. 「あいまいさ」 未完成の持つ力
2. 「わかりやすさ」 のその先に
3. 私の論文論 - 「あとがき」 に代えて
付録 瀬戸際のテクニック 「瀬戸テク」
付録 校正記号一覧と校正実際例
・インテリジェンス
○自分の考えを相手に伝える文章の書き方
1〜5章 論文の書き進め順に沿ってテクニックや考え方を紹介
6−7章 「わかってもらう」 文章の書き方
8章 論文・文章を書くことに対する著者の考え方
○なぜ書くのか?
自分の主張を論理的に展開する論文を書くことが重要です。
自分の 「論」 を読ませるために書くのであって、
調べたことを報告するために書くのではありませんね。
長い論文でも、結論が2つ入ったら失敗です。
○論文を書く際のしてはならない三原則
1. 正しい論文を書こうとしてはならない
2. たくさん勉強してから書こうとしてはならない
3. 難しいコトバを使って書こうとしてはならない
○わかりやすく書くために
「が・り・し」 の部分で、文章を区切る
内容をはしょる
1. 論展開の邪魔になる場合
2. 本来の目的から外れてしまいそうな場合
3. 十分に理解していないから 戦線を縮小すべき場合
○「明晰」に伝わらない文章はだめ
繰り返しの「くどさ」がつくりだす「わかりやすさ」は読み手への心配りですね。
常識は人によって違うものと観念しましょう。
○論文の「あいまいさ」
1. わからない場合の 「あいまいさ」
内容を はしょる・ごまかす・切り上げる
2. 未完成の「あいまいさ」
「好い あいまいさ」 は、読む人の参加を求めてくる
○「あいまいさ」 を引き受けよう。
読者の経験に委ねられる分だけ、解釈の幅を許す文章。
それぞれの人生を歩んだ人たちが それぞれに解釈し参加できる文章。
それこそが、わかりやすい文章。
○論文を締める時のルール
今後の課題、自分の課題をきちんと理解して切り上るのがいい。
・おすすめ度 ★★★★☆
もちろん特に論文ですが、人に読んでもらう文章を書く際に
一読されることをお薦めします。
チェックポイントになると思われます。
校正記号一覧など便利な付録もありますしね。
・おまけ
著者は「ゲーム脳」に一石を投じたことで有名ですね。
著書『議論のウソ』 でも、ゲーム脳という考え方を導き出した
その“手法に関して”厳しく追求されています。
ゲーム脳なんて、とっくに過去の話だと思ってました。
でも、『ゲーム脳の恐怖』 を平積みしてる本屋を見つけましたし、
テレビのコメンテーターがシレッと言ってたのを見たので、少し驚きました。
756円
ゲーム脳に限らず、議論の矛盾点を指摘している本ですので、
ハタと気づくこともあるのではないでしょうか?