なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?

『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?』(瀧口 範子著)


なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 1500円 253p 07.12.2008


Contents
まえがき
【1 毎日がイノベーション
10年前の夢想は、今日の現実/セカンドライフへ人が移住するワケ/アマゾンのキンドルが欲しい!
マイスペースは「ちょいワル」系?/イノベーション・マニアのアメリカ人/もはや知識はパワーにあらず
やっと機械とおしゃべりできるようになりました/ラジオと「iPod」、異業種が対立する時代
シリコンバレーは「グリーンバレー」に変貌中/最先端ベンチャーほど低い「アメリカ人比率」
「コンピュータに特化」が命取りになったコンプUSA/「ウェブ3.0?ノーサンキューだな」
【2 合理と、正義と、情熱の人びと】
天才科学者の失踪でテクノロジー業界が英知を結集/ハッカー集団、電子投票機のセキュリティーを突破!
海軍の緊急時技術動員ドリル「ストロング・エンジェル」とは/行動派教授レッシグ、次のターゲットは「腐敗」
資源ゴミをあえて「分別しない」もっともな理由/破棄された「レジ袋」で巨大な島ができた!
ミーティングは「軍隊の朝礼」式/ウェブ2.0の名付け親、ティム・オライリーの田園生活
隠遁生活を好む先端クリエイターたち/インド人はUターン、中国人はSターン
国をも訴える「筋金入りの」行動派
【3 描かれざる格差】
「大統領とディナー」の招待状が届いた!/シリコンバレーの「二都物語
「教養があるお金持ちの」のためのセレブ系SNS/「目指すはノーベル賞」の教育ママたち
ガレージセールより面白い「遺品セール」/「文化果つるチ」の食文化にもグーグル効果?
「ソフトウェアの神様」が若者に「カネとコネ」をプレゼント/四年ごとの一大行事、大統領候補の「シリコンバレー詣で」
スタンフォード大学長室で「全裸の学生が座り込み」の理由/ジェットコースター並みに乱降下する住宅価格
【4 新しい市民社会をデザインする】
トプラーに聞いた「貨幣経済と非貨幣経済のあいだ」/「タダの経済」の拡大を喜んでもいいのか
テクノロジーがもたらす「学習機会の平等」/「100ドルパソコン」が2台セットで売られる理由
エコ派はレンタカーではなく「ジップカー」で/ウィキペディアの調停プロセスは「国連さながら」
「炎上」「荒らし」は規制によってしか排除できないのか/イーベイ創業者が次に挑むのは、社会革新ビジネス
グーグルは慈善活動でも「桁違い」の投資額
【5 メディア、ジャーナリズムの未来】
クリエイティブ・コモンズ、次なる展開/「ニュース・ジャンキー」を取り込め!
「メディアの民主化」標榜するディグの挑戦/「現代のアレキサンドリア図書館」を目指すある富豪の物語
グーグルの「崇高なミッション」に潜む危険/なんでも無料のネット世界でも「ゆずれない一線」はある
AOL傘下のネットスケープがこんなことになっていた/ゴアが出資するカレントTVに注目
古参メディアの新たなる挑戦、調査報道の新しい潮流
【6 日本人が知らないグーグルの素顔】
ホームレスに無料で電話サービスを提供/グーグルの百科事典vsウィキアの検索エンジン
アップルvsグーグル、携帯電話ウォーズ開幕/対マイクロソフトでセールスフォースと共闘
もはや私たちにプライバシーはない/テクノロジー界のセレブがそろい踏みのクリスマスパーティー
グーグルはどんな「誘い文句」で学生をリクルートするのか/グーグルの女帝、マリッサ・メイヤーの正体
【7 正念場のアップル、マイクロソフト、ヤフー】
マックブック・エアの「本当の重量」/「スティーブ・ジョブズの秘密の日記」の著者
ジョブズのプレゼンは、やっぱりうまい/iPhone欲しさにアメリカで「行列」初体験
マクロソフト、「デバイスのエコシステム」を着々と構築中/ヤフーに執拗に「求婚」するマイクロソフトの勝算
大企業病ヤフー」建て直しのドラマの行方/「三つ巴の戦い」に新たな章が加わった
マイクとソフトのヤフー買収撤退で笑うのは・・・・・・/シリコンバレーに流れる一筋の系脈
あとがき


Information
なぜ、分別しない
すでに資源ごみの回収率は高かったのだが、広域的に回収率を上げるために分別を簡素化した。
資源ごみの回収率は簡素化すればするほど高くなるのだ。
集めたゴミをかなり高い確率で分別できる先端的な機会を導入し、一部に手作業をあわせることで合理性を達成している。
決して環境を無視しているわけではない。
最近、シリコンバレーの合言葉は「Change the world」から「Save the world」になっているのだとか。


タダの経済
まともな国民健康保険制度するない米国では、あらゆることがビジネスによって賄われている。
しかし、誰もそれに疑問を持たない。
それでも、「私」の手にゆだねてはならないもの、「公」の領域に残しておかなければならないもがあるのではないか。
その中に人類の「知」は含まれているはずだ。


タダの経済にはいくつかのパターンがある。
1.広告サポートによるモデル ex.Google
2.「クロス・サブシディ」 ex.iPhone,Printer-ink
3.「労働交換」     ex.UGC
4.「フリーミニウム」  99%をタダで販売し、1%で利益を得るというもの 例が思い浮かばない orz
著者は言う。
タダと引き換えに我々は何かを売り渡してしまうのだろうか。「タダ」の正体がまだよくつかめない。


無数の人々が無数のことを自分でやるようになるにつれ、貨幣経済の外側の活動がどんどん増え、貨幣経済と拮抗するようになる。
「ビックピクチャー(大きな未来)」を感じるようにしている。
貨幣経済と非貨幣経済のあいだに、うまい循環ループをつくってこそ、テクノロジーの本来の力が発揮される。


最近のシリコンバレーは、住む所というより空港のようなイメージがある。
世界中から色々な人がやってきて、ここに集まり、地元の資金やら機会やらというインフラを移用して、ビジネスを起こす。
その編成、再編成、解散の速度が、めまぐるしく速い。
シリコンバレーのユニークさが、ますますその速度を増している。


グーグル誕生
とてもラッキーな事が、あった。
グーグルの基礎技術が誕生した場に居合わせたのだ。
毎週開かれていた「デジタル図書館研究グループ」のミーティングでのこと。
ラリー・ペイジとセルゲイ・プリンが「バッククラブ」という技術を発表した時、教授陣も含めた数十人の参加者がみな、
「フ〜ン」と黙ってしまったのを覚えている。


About author
瀧口 範子
シリコンバレー在住のジャーナリスト
上智大学国語学部卒業
テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する
96〜98 年にフルブライト奨学生として、スタンフォード大学工学部コンピュータ・サイエンス学科客員研究員
著書 『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』
HP 瀧口範子「シリコンバレー通信」 | 日経 xTECH(クロステック)


Thank you      
最後まで読んでくれて ありがとうございます。
本書は、『シリコンバレー通信』に加筆修正したものに、書下ろしを加えた構成になっています。
著者の友人は、四歳の息子を有名私立幼稚園に通わせているそうです。
なんと、その幼稚園では
言葉もろくに喋れないのに、早くもファイナンシャル・スキルを育てるプログラムまであるのだとか。
シリコンバレーからの便りはいつも刺激に満ちていますね。