「解決力」養成講座

『「解決力」養成講座』(小宮 一慶著)


ビジネスマンのための「解決力」養成講座 (ディスカヴァー携書 (025)) 1050円 214p 06.15.08


Contents
はじめに
まず自分の問題解決力を試してみよう/問題解決が仕事/枠組みによって問題を分解する/問題解決には技術が必要/実は、「何が問題か」を特定することが結構むずかしい/「解決策の策定」とその「実行」
【01 問題を特定し、優先順位を付ける】
「問題」を特定する/いま、対応すべき「問題」はなにか?/「事実」を「事実」として確認する/優先順位は、時間と状況によって刻々と変わる/いま、何をいちばんに優先すべきか?/「問題」を「問題」として把握しなければ、解決策も始まらない!/あなたにとっての「好ましくない現象」=「問題」は?/頭の中に、緊急度と重要度のマトリクスを持つ/重要度、緊急度を決めるには、基準が必要/論理的思考力を高める/実は重要な「問題の芽」/最強の「問題解決」とは!/ダウンサイドリスクを測る/新しい「問題」の突発でも、優先順位は変化する
【02 「根本問題」を特定する】
根本問題を探り出す/問題を分解するためにロジカルツリーを使う/基礎的考え方を「ツール」として持つ/好ましくない現象=UDEを書き出そう!/UDEのポストイットでツリーをつくってみよう/ツリーをたどって、根本問題を探せ!/ネガティブ・ループが現れるまで!/対応可能性を検討する
【03 「問題」を検証する】
あなたならどうする? ケーススタディ入門編/必要な情報を収集し、分析する/直感の罠・・・結論を急がない/思い込みやメンツがバイアスとなる/検証の罠/それでも、最後は直感!?
【04 解決策を策定する】
解決策を直感で決める前に! プロコン・リストの勧め/ダウンサイドリスクが大きいことは、慎重な上にも慎重に!/社長であってもひとりで決めない!/ディシジョンツリーで、期待値とダウンサイドリスクを計算する/あなたならどうする? ケーススタディ初級編!/占い師とコンサルタントを分ける「仮説検証」/技は時間の節約!
【05 問題解決力の実行】
問題は解決しないと意味がない/実行プランを立てる/パート図を活用する/実現の要は、検証と検証の責任者!/人を動かす/「意味」より「意識」
【06 問題解決、コンサルタントの「技」】
解決力の3つのポイント/基本中の基本、マーケティングの5P!/お客様の視点で分解、4CとQPS/天橋立AIDMAは?/欲求が高まらない原因を探せ!/AIDMAメルセデスベンツの戦略は?/SWOT分析で、強みと弱みに対するコンセンサスを持つ/PPMで資源の配分の仕方を検討する/ABC分析のほんとうの使い方を知っていますか?/レーダーチャートで、「見える化」する/ボトルネックを特定する/重要なもう一つのツール ケーススタディ中級編/会計を経済の基礎を知る
【07 問題解決を妨げるもの 解決力を高める習慣】
問題解決を妨げるもの
1.思考の停止/2.時間不足/3.経験不足/4.経験・常識によるバイアス/5.権威・肩書き/6.事なかれ主義
解決力を高める習慣
1.「なぜ?」「ほんとう?」「それから?」/2.常識を働かせる/3.常識を疑う/4.常に考える/5.価値観に基づく直感
あとがき


問題解決の「手法」や「フレームワーク」を補助的に使うことによって、論理的思考力を導きやすくなる。 本書ではその問題解決の手法やフレームワークを事例を交えて紹介し、理解してもらい、論理的思考力を鍛えるということに重点を置いていく。  問題解決の手法を知ったからといって、実際の問題を解決できるとは、限らない。 知識があることと、それを使って問題を解決していくのは、また別の事だ。 つまり、「現実」の問題を解決することこそが、ほんとうの問題解決だ。


Information
問題の発見
何が、問題の根本的な「問題」なのかがわからない、ということは往々にしてよくある。 しかし、根本的な問題を解決しなければ、現象に対して右往左往するだけということにもなりかねない。 多くの場合はそうやって、表面的な現象に左右されて対処療法に終わってしまったり、本当の原因を知ることなく、あきらめてしまうかもしれない。 それが、問題解決ができない大きな理由だ。 現状を正しく把握するために情報を収集する。 わからないことは「仮定」として話を進める。 これらを、きちんと考慮する必要がある。  論理的思考力を活かして、思い込みや、バイアスに注意しながら、すべてを仮説として検証していく。 そうやって、成功確率を高める、言い換えれば失敗確率を下げていく。 失敗確率がゼロになることはない。 最後は直感で決める。 判断するには、自分の中に基準(前提としての価値観)を持っている必要がある。 これが、単にロジックだけで決めようとするなら、無味乾燥なものになってしまう。 それが、本当にあなたが望む生き方、仕事だろうか。 問題解決の技とともに、価値観も磨いて欲しい。 


問題の把握
問題を問題として把握するには、ポストイットに身の回りで起きている好ましくない「現象」を書き出していく。  そのポストイットを縦軸に緊急度、横軸に重要度を取った4つの象限に分けていく。 この時、第3象限にあたる緊急度も重要度も低い「問題の芽」に振り分けられた問題に注意をする。 いきなり、緊急度も重要度も高い第1象限に飛ぶ可能性があるからだ。 優れた経営者やリーダーはこういった問題の目を細かいうちに気がつくことができる。 もし、そういった感度に自信が無いのなら、気づいた時点で、ちょっと過敏なぐらいに対応していくのがいい。 好ましくない現象に気づいたら、常に、最悪の状況につながったときの損害に思いをめぐらし、ダウンサイドリスクを推測する。 そうすれば、問題の優先順位付けの能力を高めることはできる。 推測したダウンサイドリスクによっては、ポストイットを張り替える必要があるかもしれない。 優先順位はその時々によって、常に変動するものだ。 


チームで問題解決
技の一つであるツリーを使って問題を整理すると、ネガティブループが現れる可能性がある。 しかし、これは一つがひっくり返れば連鎖的に大部分が解決することができるかもしれない。 そういった好ましくない現象こそが、求める根本原因だ。 この時、諸問題間の関連付けが論理的に正しいかを考える必要がある。 「なぜ?」「ほんとう?」「それから?」を繰り返すようにする。 その問題は、自分たちで対応できるものだろうか。 対応可能な「問題」を特定し、「資源配分」の仕方(順番)を検討する。  もし、問題解決を仕事場で行うなら、検証の際に責任者を置くのも有効だ。 複数の人間でディスカッションすることで、それぞれに参加意識が芽生え、問題解決のモチベーションが醸成されていく。問題解決は成功すれば華々しいが、問題など何も無く、平穏なのが一番だ。 そうであれば、問題解決に使うコストをの他の事に活用することができる。 ただ、どうしても問題は発生してしまう。 その場合には本書で学んだことを活かしてほしい。


About author
小宮 一慶
京都大学法学部卒
東京銀行入行
ダートマス大学経営大学院MBA取得
96年 小宮コンサルタンツ設立
現在 経営コンサルタント明治大学 大学院 会計専門職 研究科 特任教授
書籍 『リーダーのための実践する経営』など
HP 経営コンサルティング「実践する経営の原理原則」|小宮コンサルタンツ


問題を問題として認識するための時間を、生活の中でつくっておくのがいいかも知れませんね。
先日、『「読書力」養成講座』出版のアナウンスがありました。 楽しみですね。