手ごわい頭脳 C.ジョーンズ

手ごわい頭脳―アメリカン弁護士の思考法 (新潮新書) 714円 207p 20.10.08

・Lawyerがやっている仕事というと、弁護士、検察官、裁判官にとどまらず、行政書士司法書士、企業内の法務担当やタレント事務所のマネージャーまでもが守備範囲になる。 〜日本とは比較にならない「弁護士」の数
ロースクールで教えられているのは情報としての法律ではなく法律情報の処理方法。 州法が複雑などの事情より、情報処理能力を養ったほうが効率が良い。 〜ロースクールで求められるもの
判例法の強みの一つは、裁判となる事実関係の変化、社会の変化にあわせて法律そのものがある程度自然と社会のニーズにあわせて進化する点である。 〜変化が強み
・「コーヒーが熱すぎた」という有名な事件では、被告側の対応が裏目に出て、陪審員の顰蹙を買ったことがポイントになった。 〜陪審員だけは敵に回すな
・弁護士にとっての言葉は一種の武器だが、実は、相手の言葉こそが一番強力な武器になりうる。 〜解釈という名のテクニック
・訴訟制度に任せると、当事者は自主的に解決し、訴えられたほうも再発防止に積極的に関わるようになる。 この方法で政府が提供するは中立で効率的な裁判制度だけ。 もちろん費用は掛かるが、変な行政組織が出来上がるよりは安上がりだろう。 〜政府を信用するな


C.ジョーンズ
同志社大学法科大学院教授
カリフォルニア大学バークレー校卒
東北大学大学院法学研究博士前期過程終了
デューク大学ロースクール終了
米国大手事務所勤務や企業内法務を経験


まえがき
01 法律を知らなくても弁護士はできる
日本とは比較にならない「弁護士」の数/不思議な法教育
02 ルールを見つけよ
判例法は法律を「見つける」作業/事実が法律を作っていく/「バッテリー」の概念/ロースクールで求められるもの/前例を攻撃する本能/変化が強み/判例にはランクがある
03 陪審員だけは敵に回すな
陪審の役割/刑事裁判と陪審陪審制度と裁判員制度は別物/法を「無視」してもよい陪審/「合理的な疑い」が排除されるまで/司法取引の意義/民事も陪審裁判になる場合/「コーヒーが熱すぎた」裁判の裏/裁判官は「試合」の審判/弁護士は学者でも科学者でもない
04 解釈という名のテクニック
勝つための技術/「イシュー・スポッティング」という本能/言葉の定義こそ法のカギ?/Be同士の定義を求めたクリントン大統領/定義に数十億ドルがかかった保険裁判/誰でも使える「定義技」/アナロジーとは/女性の中絶を受ける権利と同性愛者の結婚/破産法ではロバ=車?/動物と製造物責任の関係/兵器で主張できる「法律が間違っている」/何のための法?/場所を変えて、相手を変えて勝負
05 政府を信頼するな
「公権力」が人権を主張する矛盾/政府を信頼できない理由/でっち上げられる冤罪/情報がカギとなる/再考・陪審制度の意味/敗訴を通じての社会秩序と民主主義/市民が「法務長官」になる時/シェークスピアの「助言」の真意とは?
06 倫理と報酬の狭間で
3億5000万ドルの報酬/自給ベースのカラクリ/レバレッジトム・クルーズの倫理/相反する義務/細かい論理規定がある理由/義務が相反するとき
終章 法律は森である
バッテリーの結論/法律理論の限界/法律は何のためにあるか
あとがき