あたらしい戦略の教科書

『あたらしい戦略の教科書』(酒井 穣著)


あたらしい戦略の教科書 1500円 237p 07.15.08 



Contents
はじめに
【1 戦略とは何か?】
1 戦略とは「旅行の計画」である
2 大学受験の戦略を考える
3 戦略は、時間と共に成長する
4 戦略における完璧主義のワナ
5 戦略は中心メンバーの選出から始まる
コラム 戦略と戦術の違いは?
【2 現在地を把握する】
1 情報力が戦略を簡単にする
2 集めるべき情報・行うべき分析とは何か?
3 顧客情報こそキングである
4 情報収集の3つのステップ
5 情報収集の現実
6 情報分析の基本
【3 目的地を決定する】
1 目標は何のためにあるのか?
2 目標設定の怖さを理解する
3 戦略立案を刺激する優れた目標・5つの条件
コラム 「熟達目標」という考え方
【4 ルートを選定する】
1 戦略は本当に必要なのか?
2 スイート・スポットをシェアして、戦略を育てる
3 あたらしいアイデアが本当に求められるとき
4 クイック・ウィンのテスト・ケースを走らせる
5 立案される戦略の構造
6 やめるべきことを常に探す
7 リスク対策と代替案の準備を忘れずに
8 戦略のキャッチ・コピーを考える
コラム 戦略の立案力を養うトレーニン
【5 戦略の実行を成功させる】
1 人を説得するための方法論を知る
2 組織トップのコミットメントをマネジメントする
3 組織内で、危機感と希望を共有する
4 情熱の伝染を引き起こす
5 組織内に「やさしい空気」を作りだす 
6 組織内の実行に反対する人々との戦い
7 戦略の実行に使えるノウハウ集
コラム 魔法の数字 7±2
コラム カーナビに学ぶ戦略の実務


あとがき
付録 さらに戦略の理解を深めたい人のための書籍&DVD
主な参考文献


Information
戦略の必要性
「あえて戦略を持たない」というのは日本人らしい考え方だったのかもしれないが、いつまでも通用するとは思えない。
現代における戦略では、現場に近い各分野の専門家がボトム・アップ的な方法でその立案以前の段階から積極的に関わっていくべきだ。
戦略イコール分析ではない。古くからの戦略論は、戦いに勝つことが重視されており、競合しない分野への目配せが少ない。
本書は現場の視点である「戦略の実行」からの逆算によって構築した「戦略の実務書」として著した。
だから、次を担う「現場の若手ビジネスマン」にも読んでもらいたいが、戦略の実務に不慣れな人は情報に溺れがちだ。
本書を読むにあたっても、実務に活かす際に「何を無視すべきか」という意識を持ってほしい。
成績目標と熟達目標のハイブリッド的な目標として、「あなたが成長することで、会社が○%成長する」という「あなた」が主語に来る成績目標作りに可能性を感じる。
優れた目標は、リーダーが設定し、利他性のスパイスを加えることが重要だ。


現在地
いつもフレッシュな気持ちで、今与えれるているポジションから、状況の改善を目指してベストを尽くすという姿勢が重要なのだ。
全ての問題の原因は、過去にあり、「現在地」は、客観的な事実で出来ている。
目的地によって、「確認すべき現在地の内容」や「優先順位」が変わり、ルート(戦略)を考える「難しさ」は変化する。
そして、戦略を立案する際には「バックアップ・プラン」を考えておくことが重要だ。
本当の意味で差別化を実現するには、「自分にとってなにが本当に大切な問題なのか」を正しく認識し、正しく優先順位をつける力が必要だ。
そうやって、未来の不確実さを下げていく。
戦略の成功には、周囲の多くの人を説得することが欠かせない。
そのためには相手の価値観や考え方にあわせた説得方法を取る必要がある。
戦略を進める上では、お互いを理解しようとする「優しい空気」を職場に作り出すのも有効だ。
他人を巻き込むみたいなら、「情熱の伝染」を起こそう。
しかし、情熱を伝染させるには 言葉だけでは足らない。実際の行動や態度で表現すべきだ。 


情報収集
紙やインターネットなどのドライ情報の方が、ウェット情報よりも入手も伝達も簡単で、多くの場合 信頼性も高い。
そういったドライ情報を元にして、インタビューをすることで付加価値を付けることができる。
「相手に口を滑らせるというスキル」(嫌な言い方かもしれないが、という注釈付き)が必要になってくる。
事前準備をしっかりしておいて、相手の問題意識がどこにあるかを把握するように努める。
完璧な情報収集など 求められるものではないが、実際に戦略が走り始めても 情報の収集をやめてはいけない。
そして、事実の情報と推定の情報を混同しないよう 常に気をつける。


About author
酒井 穣
慶應義塾大学理工学部
オランダTilburg大学TiasNimbas Business School経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得
オランダに移住
主に知的財産権本部に所属し、技術マーケティングや特許ポートフォリオの管理を担当
オランダの柔軟な労働環境を活用して、現在も知的財産権本部での仕事に精力的に取り組みつつ
2J3 Trust B.V.を創業し、最高財務責任者(CFO)としても活動
08年よりTiasNimbasのMBAプログラムにて臨時講義を受け持つ
著書 『はじめての課長の教科書』
HP NED-WLT


先日紹介した松田氏など「情熱を伝染させる」人の良い例ではないでしょうか。
本書に 最高の営業マンとは「満足した顧客」だとありました。
では私は 最高の営業マンの一人として、本書をお薦めすることにします。
綺麗な色の表紙ですね。次は白でしょうか。



仕事は5年でやめなさい。 - hasen’s long life (hatena)