Hot Pepper ミラクルストーリー

『Hot Pepper ミラクルストーリー』(平尾 勇司著)


Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方 1575円 06.05.08 235円


Contents
はじめに −未だ見ぬものを見に行く冒険
【01 『ホットペッパー』の本当のすごさ】
忽然とそれは現れた/単品ど迫力で日本を席巻/飲食情報誌にあらず/見えなかったのではない、見なかったのだ/原点は梅モデル/社員でない集団が作ったお化け事業/人と人との関わりをつくる「組織づくり」の技
【02 『ホットペッパー』とはいったい何なのか?】
秘密をはじめてあきらかにする/逆行して生まれた/生活圏の日常生活コンテンツ・ポータル/人を動かすスイッチ/日本にクーポン文化を醸成する/クオリティの競争の世の中をつくる/大好きな待ちを救いたい/見れば見るほどに非常識な雑誌/クリエイティブの大量生産/真似できない強み雑誌の分散型チェーンビジネス
【03 失敗が教えてくれた11の警告】
01 「出来ない理由」を上手に説明している
戦略とは捨てることだ/目標はある、目的がない/事業は物語だ、勝つシナリオをつくれ/実は、実行していない
02 大阪と札幌はどう違うのか?
そのシナリオは、本当に伝わっているのか?/仕組み化ができていない/勝負していない
03 組織図にはすべてが表れる
階層組織は顧客のためではない/働くモチベーション設計ができていない/必要な人材が「集まる」組織をつくる/「必ず勝つ」風土がない
【04 事業立ち上げの仕組みづくり】
04 札幌のカレーは大阪のカレーの3倍も高いのか?
全ての問題の中にある視点を共有する/事業を数字で表現し、「なぜ?」を繰り返す/家業ではない、事業である/広大な海を見に行こう
05 剣道には小手・面・胴しかない
一本背負いで勝ちに行く/構想力 見えないものを見に行くチカラ/時間軸に置き直す
06 森を見て、気を見て、枝を知る
科学的ながら、情に満ちた戦略/営業を科学する/念仏を決める
07 戦略じゃない、物語を聞きたい
なぜ負けたかを物語として説明する/「〜すべき」が「〜したい」に変わる瞬間
08 それは俺の事か?
誰がバカなのかがわかる組織をつくる/チームを最小単位とする/血流を良くする
09 お前はメンバーを全員殺す気か
数字から逃げない組織をつくる/ヨミと意志で業績オペレーションする
10 制度に合わせて事業をやるのか?
採用システムが命綱だ/採るべき人だけ採る
【5 急成長のきっかけとそのしかけ】
11 版元長飛び込み大会
道場でリーダーを育てる/命名する、そしてみんなで学習する
12 この大宮版を廃止する
小さな経営意思決定会議ヴィジョンプレ/チームで金メダルをとりにいく
13 インデックスなんかいらない
コンセプチュアルな会議/20件訪問件数マネンジメント/岡田奈奈恵を見つける
14 だんじて、サマフェスを実施する
「どや、おもろいやろ」/心と体の流れをつくる/コミュニティが建設的なコミュニケーションを生む
15 ぶち込んで使わせろ
クーポンマガジンと命名する/売り上げ拡大に直結する一気通貫ブランディング
【6 顧客接点作りの仕組み化】
16 「このまま、路地裏のちっぽけなお店のままでいいよ」
プチコン」 顧客の喜びを自分の喜びとする仕組み/上質のコミュニケーションが生まれる
17 次のメニューはどうしたらいいの?
素人がプロになる/「プチコンコン」組織が形式知にする/プチコンは顧客と一緒につくる物語
18 吉田采都子の「何屋プチコン
かわいいコミュニケーションを実現する/プチコンが競争優位性の源泉となる/人を育てるプチコン
【7 セオリーに反する営業の仕組みづくり】
19 一人屋台方式
営業を複雑にする/面白さが営業マンの生産性を上げる
20 バードビュー
トップ営業マンにだけ聞くな!/3つの方を創る ニーズは多様化していない
21 七福神お届け営業
訪問の必然性/営業を計画する力/ロジックジャンプを信じる
22 5分間ロープレ
純化するのではなく、シンプル化する、一気にいっせいにやる
【8 マネンジメント・リーダの育成】
23 組織の風景
リーダーとは物語を語る人/コンセプター・デザイナー・プランナー・マネジャー・プライヤー
24  女に嫌われる男の5つの条件
仕事を定義する/リーダーに必要な技術/決める力
おわりに −申し訳なく、残念です


Information
採用技術
ホットペッパー』は雇用という保証のない業務委託のメディア・スタッフと3年という限られた時間軸で働く契約社員(CV職)によって、わずか4年で売り上げ300億円、営業利益100億円の事業になった。
CVを採用するにあたって、必要な資質と態度とを言語化した。加えて、その資質や態度を見抜くための質問の内容やその方法を明らかにした。
ハードウェアだけでなくソフトの面でもこういった運用が出来たことで『ホットペッパー』の人材採用は大きく変わった。
3年と言えども採用した企業としての責任がある。働く人にとっても価値のある3年にしなくてはならない。それを実現するのに必要なのは、採るべき人だけを採るという仕組みだ。
そして、事業展開は、現状の広告掲載料無料化競争を避けるためにネット時代に逆行するやり方を採ることになった。
クライアントはリアルで課金する仕組みを作って囲い込む一方で、ユーザーはフリーペーパーという形で囲い込んで場を作り出し、来るべきネット時代にはそのクライアント情報とユーザー囲い込みをウェブに転化するという戦略だ。
ホットペッパー』という事例(事実)を使って、事業とは何か?強い組織とは何か?よいチームとは何か?優れたリーダーとは何か?という問いに答えようというビジネス読本とした。


勝つストーリー
ホットペッパー』の前に『サンロクマル』という失敗があった。7年で36億円の累積赤字を抱えていた。
戦略とは、絞ることである。選択と集中の重要さを『サンロクマル』は忘れていた。
ネーミングした瞬間に失敗の道をひた走り始めていたのだ。それに比べて『ホットペッパー』には、勝つシナリオがあった。
デフレスパイラルの最大の限界は「定価を下げたことにある」一度下げた定価は二度とは戻らない。よりインパクトを求めて下げ幅が大きくなる。
クーポンというのはそれに対抗する賢い政策だ。


プチコン
東京というマーケットをいくつかの生活圏・行動圏に分割してしまうことで見えなくなっていたものがあった。相互に補完しあっているし、地方の一つ一つの街にビジネスチャンスがある。
経営経験もないのに、経営コンサルティングなんて出来ない。だが、その店の良いとこを発見し、それを限られた広告スペースで訴えかけることを可能にする「プチコン」(プチコンサルティング)なら可能だ。
それは、素人がプロになれる領域を見つけるということだ。顧客がプロフェッショナルである領域には立ち入らず、そのすぐそばにあって 且、顧客が手に入れられないような土俵でプロになる。
これが出来れば、顧客との共同作業が可能になり、事業は磐石になる。価格競争に巻き込まれずにすむからだ。
その方法論を組織の形式知にするのはマネンジメントの責任である。
トップ営業マンに聞くな 目標であって標準ではない。
売れないミドル営業マンを研究しろ 彼らが標準だ 技術ギャップに注目せよ。
ボトム営業マンに惑わされるな 怠けているか否かという問題は切り離して考える。



私たちは、商品を購入する際に内的参照価格を参考にして購入しています。
内的参照価格とは、商品に対して持っている感覚的な値段の「あたり」ですね。
値引きをし始めると、この内的参照価格を下げることになります。
ですから、心理面を考慮した値引き策というものが存在します。
1.消費者への丁寧な説明   ex.50周年だから〜、在庫だから〜
2.クーポンの利用        ex.本体の価格は変わらないが、クーポンによって〜
3.抱き合わせ価格        ex.どの商品で値段を下げているかわかりにくい
ホットペッパー』は、2のクーポンの利用を文化として醸成しようとしたそうです。
テレビでさまざまな企業のCMを見ていると、広告は男社会なのだなと感じますが、『ホットペッパー』作りには多くの女性が関わっています。
女性に嫌われないようにしなくてはならない。
世の中の半分は女性だ。組織の半分がマネンジメントできないことになるし、マーケットの半分が理解できないことになる。
それでは、リーダーは務まらない。
これは素質の問題ではなく、訓練すべきことだ。 とのことです。


About author
平尾 勇司
香川大学経済学部卒
(株)リクルート入社
ケイコとマナブ首都圏営業部部長、中四国支店長などを歴任
01年ホットペッパー事業部長に就任
03年境域ビジネスディビジョンカンパニー執行役員就任
06年退任
現在 経営コンサルタントとして、講演、研修、執筆活動を行う


昨日は、著者さんからコメントをいただきました。
気に入った本しか紹介しない(ネガティブな紹介をしない)というのは、
へんな言い方ですが、気がラクだったします。
今日の本はいかがでしたでしょうか?