『エコノミック恋愛術』(山崎 元著)

エコノミック恋愛術 (ちくま新書 737) 714円 190p 08.10.08 


 本書は「日経ビジネスアソシエ」の連載コラムがもとになっている。 恋愛と経済学の間に、こじつけでもいいから、何か関係はないかと探しながら、小咄的な小論をたくさん書いて、これらを並べてみただけだ。 ほどよく暇がつぶれる「面白い話」くらいには、なっているのではないかと期待している。


Opinion
 現在連載中の「山崎 元の経済元論」とは、少し毛色が違い、下ネタも、駄洒落もありますが、「そう言われてみればそうだ」、「これは、考えたことがあるぞ」と納得することも多く、「言われれてみれば、そうだ」とひざを打ちもする1冊。こういった感想を持つということは、本書にでてくる例が決して経済学的に合理的な人を扱ったものではなく、実生活に適った(行動経済学的に合理的な人?)例だからだと思われます。 著者も、「経済学が恋愛を説明するよりも、恋愛の理解こそが、新しい経済学に役立つのではないか。」と書いています。 恋愛術としては、必勝法ではないけれども、経済学に愛着のある人は、その論理に納得することで、自身を持って有事に臨める(?)かもしれません。 「社会学の女王様」にお力添え頂けるかもしれない!


About author
山崎 元
経済評論家
東京大学経済学部卒業
三菱商事入社後、12回の転職を経て、
05年より楽天証券経済研究所客員研究員
著書 『新しい株式投資論』など
HP 評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」


【目次】
Contents
【まえがき】 恋愛の経済学に「うまい話」はあるか
【01 社内恋愛は悪なのか】 −女心と男心の経済学
あなたは「マーガリン」になれるか/社内恋愛のコストを算定すると/「職場の花」にはご用心/競争が過大評価をもたらす/恋のプラシーボ効果/浮気をゲーム理論で考えると/もてない男の窮乏化説/サエない男もそこそこモテる?!/恋愛ノウハウの実証性は?/所得効果には男の本心がでる/恋愛格差を測定すると?/資本主義の変質と恋愛の競争力
【02 恋愛ではバカに勝つのは難しい】 −新しい経済学でロマンスを考える
バカはときに理性を凌駕する/ロマンチストは何を夢みるのか/いい女に気後れするのはもうやめよう/後悔よりも先に勃つものあり/教えてください、ケインズ先生/失恋すると自身が23.6%低下する/出会い上手になるコツ、教えます/嗅覚を研ぎ澄まし、街へ出よう!/ロマンスに合理性は必要か/モテる男は不幸らしい/駆け引きのジレンマ/リスクを忘れる「最終レース」/そこそこで満足するか、理想を追うか/悪女に学ぶ行動経済学/経済学と脳科学の蜜月
【03 モテたい人のための「恋の悪知恵」】 −恋の元本割れを回避する
美人のいるオフィスの経済価値は?/合コンで幹事よりいい女(男)がなぜ来ないのか/「ナイト」の不確定性を侮るなかれ/過大評価と過小評価が起こるパターン/合コンの誤謬/合コンで考える3つの正義論/過大評価は破綻を招く/人間の評価はやっぱり難しい/ヤバい女に引っかかる理由/「できちゃった結婚」の合理性について/教えてください、シャープ先生/株価と恋愛はゆっくり過剰反応する/ナンパ師はなぜ渋谷をめざすのか
【04 結婚はバブルである】 −経済学的に夫婦を考える
あなたのパートナーは資産か負債か/結婚はバブルである/「贈与効果」で考える離婚のコスト/妻の手料理が美味しい理由/夫婦が長持ちするのはなぜか/結婚の決意に関わる取引費用/婚期を逃したくないのなら/嫉妬ゆえの男女の束縛について/人間は結婚しやすく出できている/プロポーズとTOBの「呪い」について/妻はもはや既得権益者だ/生活費と家事労働の分担について/その気になるのは4年まで?!/妻選びは株式運用とさも似たり
【05 恋人獲得の戦略】 −いかに選び、選ぶか
自分の値段をいくらに設定するか/「牛丼屋の味噌汁」を模範とすべし/男女の秘密のオプション的リスク/教えてください、ドラッカー先生/モテるための3つの基本戦略/流行を追いかける女、追いかけない女/巨乳ブームと競争の転換点/教えてください、ウェルチ先生/恋愛には人は何を求めるのか/衣食足りて恋愛を知る?/恋愛の自由はいかに可能か
あとがき 恋愛と経済学の関係について