難解な本を読む技術 高田明典

難解な本を読む技術 (光文社新書)
高田明
光文社
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難解と言われている本(特に思想書)と出会った時にどう読み解くかという指南書。著者は本のパターンに注意を促す。少しずつ内容を積み重ねていく「登山型」もしくは、様々な景色を見せる「ハイキング型」、著者の考えがはっきりしている「閉じた本」と open questionとなっている「開いた本」などと。題名にある技術については、具体的な作業として読書ノートを取ることが薦められている。ノートの助けを得て、思想を情報として頭の中に整理し、構築していくことで利用できるようになるようだ。本書の前半はそういった読書法の解説。後半は読書ノートの見本と難解と言われる思想家(ラカンドゥルーズ)の著作紹介と読み進める際におすすめの順番がまとめられている。

中学高校の頃、教科書に対してした、線を引いたりメモを書き込んだり、というやり方を最近は本に対してもするように変化してきた。松岡正剛氏は『多読術』の中で「本をノートと見なす」という言い方をされていたけれど、このやり方が自分に合っているような気がする。今のところ、特別難解な本を読む機会がないので、著者のアドバイスにあるような「本一冊に対してノート一冊」ということをする機会はないのだけれど、ある分野の本を「根」「茎」「花」という、より大きな知の中に位置づけて体系的に本を読む「系統読み」の際には、難解ではない本であっても本の外部にノートしていく方法はぜひ使ってみたい。


高田 明典
フェリス女学院大学文学部コミュニケーション学科教授
早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了
早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得満期退学
著書 『「私」のための現代思想』など


はじめに
01 基本的な考え方
02 準備
03 本読みの方法(1) 一度目: 通読
04 本読みの方法(2) 二度目: 詳細読み
05 さらに高度な本読み
付録1 読書ノートの記入例
付録2 代表的難解本ガイド(デリダスピノザウィトゲンシュタインソシュールフロイトフーコーラカンドゥルーズ、ナンシー、ジジェク