なぜあなたはやらないのか 大前研一

エスタブリッシュメントがポケーッとしてくれている今が、新参者にとっては大きなチャンスなのだ。 (p.22)
なぜあなたはやらないのか。その理由はかくかくしかじかで、、、ではなく、なぜあなたはやらないのだ、という煽動のメッセージ。本書が96年に出版された時の題名は『さあ、やりなおそう!JUST DO IT.』だった。「JUST DO IT.」というのは、ナイキのフィル・ナイト会長の言葉で、本田の「やらまいか」精神に通じる、行動することの重要性を喚起する言葉。題名からも分かるように、本書にはナイキに関する話が大きい。ナイキの関係者へのインタビューが多く含まれており、「キャンパス」と呼ばれる本社の様子や「本社の会長室には靴を脱いで入らなくてはならない」という日本びいきのナイト会長ならではのエピソードも聞ける。

約10年前に書かれたのに、日本の状況はあまり変わっていない気がする。そういう意味で”失われた”期間と言えるのかもしれない。誰が言ったことか忘れたけれど、「成功の反対は、失敗ではない、何もしないことだ」というものがある。行動に移してみると意外とすんなりいけるかもしれないし、計画時には見えていなかった要素が見つかるかもしれない。行動に移すことで、失敗するかもしれない、けれど、行動に移さない限り、成功することはない。考えてみれば、つまらない理由で後回しにしていたことが、幾つも見つかる。反省を込めて、Just Do It !


大前 研一
早稲田大学理工学部卒業
MITで博士号を取得
日立製作所を経て、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社
要職を経験し95年に退社
「大前・アンド・アソシエーツ」代表取締役
著書『サラリーマン・リカバリー』など


はじめに ―ポートランドに向かう機上にて
序章 アジアへの旅 ―大前研一企業革命宣言
01 全世界が注目する「見えない時代」に向けて
日本の企業に欠ける不屈の起業家魂/中華思想を持ったシアトル、ポートランド/「成功の鍵」を持った真の異端企業は今も不況知らず
02 野茂英雄と革命起業家の異端者精神
野茂と革命的起業家の挑戦/日本の異端経営者と規制の壁/もう、政府には頼まない!/規制緩和で台頭するアメリカの異端企業
03 いまこそJUST DO IT. さあ、やろう
21世紀に向けた通信・航空の準備はできているか?/日本にも企業チャンスはあふれている/日本の若き異端者たちへ・・・アタッカーズビジネススクール
あとがき