脳のしくみ S.アーモット/S.ワン

最新脳科学で読み解く 脳のしくみ
サンドラ・アーモット(Sandra Aamodt) サム・ワン(Sam Wang)
東洋経済新報社
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近年の脳科学研究の進歩によって得られた知見と実生活の関係、および、俗説の否定によって本書は構成される。詳細な脳機能の説明というよりも、五感や感情などの幅広い分野におけるエッセイ集という感想だ。読みやすく書かれていたので、興味を持つきっかけになるのではとも思えた。

意志の話が頭に残った。意志力は有限であるが、鍛えられるようだ。意志(それを実行する資源)が有限であるとするのは、意志を必要とするAという作業を行った後、続けて意志を必要とするBという作業をやり通せなくなる傾向があるからだ。しかし、Cという分野で訓練した結果、Dという分野をやり遂げる能力が高まるとも言えるようだ。理由などはよくわかっていないようだけれど、面白い傾向だ。

読了後しばらくすると、脳の本を読んだのか、心理学の本を読んだのかよくわからなくなった。心理学は他の分野との連携で大活躍していれる。特に、経済学との関わりは興味深い。心理学のこれまでの研究成果と、科学的進歩によってもたらされた脳機能の解明など、それぞれの分野が互恵関係にあるのだろう。今後の進歩が楽しみだし、心理学それ自体がどこに行くのかという事も興味深い。


サンドラ・アーモット
ネイチャー・ニューロサイエンス元編集長
ジョンズ・ホプキンス大学で生物物理学の学士号、
ロチェスター大学で神経科学の博士号を取得し、
イェール大学で博士課程修了後の研究を行う。


サム・ワン
プリンストン大学准教授(神経科学・分子生物学
19歳でカリフォルニア工科大学を優等で卒業し、
スタンフォード大学で博士号を取得
デューク大学医学センターなどで研究を行い、
米上院のための科学・教育政策に携わる


謝辞
QUIZ 脳をどれくらい知っている?
序章 あなたの脳のユーザーズ・ガイド
01 脳の世界とあなたが住む世界
02 脳で感じる五感
03 脳の一生
04 感じる脳
05 考える脳
06 変性意識状態の脳
終章 脳を鍛えるトレーニングのウソとホント
参考文献/訳者あとがき/索引/著者紹介