ロウアーミドルの衝撃 大前研一

ロウアーミドルの衝撃
大前 研一
講談社
売り上げランキング: 60987

総中流社会と言われてきた日本。しかし、いまや年収600万円以下のロウアーミドル(中流の下層)が全体の8割を占めるようになった。これは、社会における所得の姿がM字型になった事を意味する。こういったミドルクラスの崩壊は日本独特のものではなく、米国でも70年代に起き、M字型社会が形成された。本書では、一度は達成された総中流社会後の、新しい社会形態の中で変化を求められる社会制度、そしてビジネスのあり方が提言されている。

より良く生きるきっかけとなるのは、なにより、生き方。これまでの所得水準から考えれば、ロウアーミドルだが、世界基準で考えれば、じゅうぶんのアッパークラス。周囲との同調や固定観念を辞め、それぞれがライフスタイルを持てば豊かに生きることができる。本書に示されているような、質的変化が日本に起きれば生活者に恵みあるものになりそうだ。しかし、それを待たずとも、工夫する余地はあるはず。消極的な場面の方がブレイクスルーは生まれやすいのだから、今のこの時期、少し視点を変えてみれば、違った道が見えてくるかもしれない。


大前 研一
株式会社ビジネス/ブレークスルー代表取締役社長
早稲田大学理工学部卒業
東京工業大学大学院修士号取得
MIT大学院博士号取得
マッキンゼー&カンパニー日本支社長、本社ディレクター、アジア太平洋会長等歴任


はじめに
序章 本質が見えない理由
01 日本の構造変化と「M字型社会」
02 ロウアーミドル時代の企業戦略
03 ロウアーミドルの意識改革
04 生活者大国への処方箋
05 本当の構造改革はこれだ
06 新しい繁栄の法則
まとめ