成功者の告白 神田昌典

今の時代、夢を持った人の影響力は恐ろしいほどである。(p.343)
本書は物語調で書かれており、ベンチャー企業で働いていた主人公の独立で始まる。そう、起業物語である。しかし、一筋縄ではいかない。本書の中にこんな一節がある。「戦争がはじまっても、大地震が起こっても、僕は生きていけるだろう。焼け野原に立たされたとしても、数日後にはビジネスを立ち上げ、自分の家族を養っていくことができるだろう。」(p.108) これは、ラストシーンではない。この主人公の独白は本書の1/3に達したあたりで行われる。つまり、あと物語の2/3が残っているのだ。

物語の進展が濃く、詳細であるため、後で記憶の中で流れを追うことができる。育児書は、最適なマネジメントの教科書である、という気づきには、主人公と一緒に衝撃を受けた。何か新しいことを覚えるなら、現実に落とし込んだり、誰かに話している姿をイメージするのがいい。本書には、ビジネスに興味がある人を引きつけるようなフレームワークや台詞、人間の場に関する話が埋め込まれているのだけれど、それらが、すでに物語になっているので記憶への定着を助けてくれそうだ。集中して読んだ。

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神田 昌典
上智大学国語学部卒業
外務省経済局に勤務後
ニューヨーク大学院経済学修士
ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士取得
その後、米国家電メーカー日本代表を経て、経営コンサルタント


プロローグ
01 見せかけの成功物語
02 幸福と不幸の狭間で
03 優しさの罠
04 成功の果てに・・・
エピローグ