Bailout Nation B.Ritholtz

著者はBlog:『The Big Picture』のRitholtz氏。金融危機の芽はどこにあったか。繰り返される政府の介入が及ぼす影響とは。本書では、サブプライムに端を発した昨今の金融危機から少しさかのぼり、Bailout Nationに至る経緯、そしてFedや関連法規の関与が示されている。最後の最後で市場を逸脱するBailout。Biloutは時代とともにエスカレートし、そのコストを肥大させていく。政府が後始末をかってでることに慣れ、一部には、返せない人にまでローンを組むような、考え方の変質が起きてしまった。グリーンスパン・プットという言い方がある。著者はこういったモラルハザードを回避する最後の機会がLTCM事件を含む98年頃にあったとしている。政府がなすべきは、後始末しBailoutすることではなく、世界経済を脅かすようなシステミックリスクを事前に避けるようにアプローチすることだ、とのこと。

住宅バブルが仕事を作っていた面があったようだ。しかし、価格の高騰は多くの人を住宅購入から遠ざけてしまった。だから、住宅価格の下落は、それはそれで必要なことのようだ。チューリップはチューリップの値段に戻り、住宅は住宅の値段に戻る。しかし、倉橋透氏/小林正宏氏の『サブプライム問題の正しい考え方』によると、「なお、アメリカでは「住宅価格」の指数や統計はいくつかあるが、日本の「公示地価」「路線価」のように、「土地」の値段のみを取り出した公的統計は存在しない。」(p.67)のだそうだ。土地はあくまで使用収益されて経済価値を生み出すものであるという考え方に基づいているからだという。確かに、"Real Estate"とは意味深だ。


Bailout Nation author Barry Ritholtz compares bailouts to the S&L crisis, CEO bonuses

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Foreword
Acknowledgments
Introduction Bailout Nation
01 A BRIEF HISTORY OF BAILOUTS
02 THE MODERN ERA OF BAILOUTS
03 MARKET FAILURE
04 BAILOUT NATION
05 POST-BAILOUT NATION
Notes/Index