筋肉学入門 石井直方

著者は01年の全日本マスターズボディビル選手権優勝者である理学博士。本書はもともと、山海堂より『金と筋力の科学1: 重力と戦う筋』として出版されていたものであり、筋に関しての分子〜力学的解説がされている。筋は体重の40%を占め、名前のあるものは400を超える。ふだんはあまり注目されていない気がするけれど、筋肉量の現象は糖質及び資質を代謝する能力の低下につながる。筋の主な役割は運動の源になることであり、他にも、体温維持、血液循環の補助、そして骨や内臓の保護という重要な役割も担っている。400もの名前が付けられていることからも分かるように、筋と一口に言っても、幾つかの種類に分かれているため、適したトレーニングが存在する。

今のところ海に行く予定は無いけれど、もう少し筋肉の存在感がある体になってもいいのではないかと考えて購入した。ので、「○○筋を鍛えたくば、□□たるトレーニングをすべし」という内容を望んでいたのだけれど、本書にはほとんど無かった(おそらく同著者の『究極のトレーニング』がそれだろう)。しかし、人間には一般平均の2倍に達する筋をつけることが可能であるが、「ミオスタチン」の発現により制御されている可能性があるといった、筋の成り立ち、それ自体にたいする知識を得ることができた。高校を出たあたりからスポーツをする機会を著しく失う気がする。テレビなどでは、ダイエットの脈絡でしかあまり語られていないと思う。最近は、ビジネスマン向けに運動を勧める書籍が出版されているが、これからさらに注目されて、全うな健康志向が根付けばいいな。

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石井 直方
東京大学大学院教授
理学博士
01年全日本マスターズボディビル選手権優勝
著書『スロトレ』など


はじめに
01 筋の生い立ち・構造・機能
筋はどのようにしてできたのか?/ヒトの筋系が作られる仕組み/筋の構造と機能
02 筋収縮の仕組み
筋の収縮とは何か?/筋収縮の静的特性/筋収縮の動的特性/筋収縮の最小単位:アクチンとミオシン/筋収縮を制御する仕組み
03 ミクロの筋収縮とマクロな身体動作
力の強弱を調整する仕組み/最大筋力を決める単純で複雑な仕組み/筋繊維タイプの形成と運動・トレーニング/パフォーマンスから見た筋の進化
04 重力と闘う筋
筋はなぜ力を出すのか?/筋はなぜ鍛えられるのか?重力と筋・骨格系の複雑な関係/加齢と筋 ー年をとるとなぜ筋は萎縮するのか?/重力と骨/結合組織と重力・トレーニン