Blink M.Gladwell

Blink . The Power of Thinking Without Thinking
Malcolm Gladwell
Little, Brown and Company
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First two seconds. 最初の2秒間に起こる話。私たちは、対象を見た最初の2秒間の間に、どこからともなく情報収集し圧倒的な情報解析で解を導き出す。無意識におけるシステムではあるが、人がサバイバルの過程において洗練させてきた能力。しかし、スピードを重視するこのシステムは、正確性を犠牲にしている。必ずしも真実を写し取るわけではないこのシステムにより(拳銃の誤射など)取り返しのつかない判断へと突き動かすこともある。特に、プレッシャーのある状況(相手の懐から銃が出てくるのではなど)では情報収集能力が低下してしまう。失敗はあるが、いわれも言えぬインスピレーションを与えるこの能力。育った環境や経験により、人によりばらつきがある。つまり、経験や訓練で性能をあげることが可能。

自身で気付くのは困難だけれど、きちんと判断を下したつもりでも、本質的ではない情報からのバイアスを受けていることがある。例えば本書にもあるけれど、オーケストラのオーディションでは、スクリーンをおろすことで男女の区別を無くしている。米国のロー・スクールでは試験時に、試験用の番号が用意され、誰の答案か採点者に分からないようにしてあるという話を聞いたことがある[1]。バイアスは思わぬところからやってきたり、無邪気に思い込んでいることが原因となるから、その予防はなかなか難しい。それは、どこからともなく情報を集めてきて第一印象を与えてくれるblink momentも同じ。だから、判断者の意志に関係なく最初に得たインスピレーションが、事実をきちんと写しとれるか否かよりも、早い段階で可能性や違和感を分析対象として加えることができるのがこの能力のポイントだと思われた。

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[1]『アメリカン・ロイヤーの誕生』阿川尚之


Malcolm Gladwell
Formerly a business and science reporter at the Washington Post
He is now a staff writer for the New Yorker
著書『The tipping Point』など


Introduction: The Statue That Didn't Look Right
01 The Theory of Thin Slices: How a Little Bit of Knowledge Goes a Long Way
02 The Locked Door: the Secret Life of Snap Decisions
03 The Warren Harding Error: Why We Fall For Tall, Dark, and Handsome Men
04 Paul Van Riper's Big Victory: Creating Structure for Spontaneity
05 Kenna's Dilemma: -The Ritht and Wrong- Way to Ask People What They Want
06 Seven Seconds in the Bronx: The Delicate Art of Mind Reading
Conclusion: Listeing with Your Eyes -The lessons of Blink
Notes/ Acknowledgments/ Index


第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
M・グラッドウェル
光文社
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