超人脳 苫米地英人

ディベートに関して書かれている。超人とは、抽象思考を持つことで、多岐にわたる分野で成果を収めるという要素を持つ人。超人に近づく方法は、論理思考を徹底的に極ること。結果、最終的にはその系の外に出て高い抽象度で思考が達成され、自由になる(この最終目標がおそらく帯の意味だろう)。ディベートの方法論により論理思考を鍛える提案がされており、ディベート自体の解説や論の構築方法、その実例、実戦用の戦略が豊富に解説されていた。ディベートは、客観的証拠資料に基づいて議論し、第三者 (ジャッジや意思決定者)を納得させる競技。ディベート論理の基本となるのはトゥルーミングロジック。トゥルーミングロジックは「データ」(客観的資料)にもとづいて「ワラント」(提示したデータが主張内容を裏付ける論拠)を示し、「クレーム」(主張)をするという構成。議論する場合、基本的には相手のワラントを崩しにかかることになる。普段から、トゥルーミングロジックに基づいた思考習慣をつけておけば、相手(新聞やニュースなど)の意見に何が足りないかを見抜くことができる。

きちんとしたディベートをした覚えは無く、学習した記憶も無い。本書後半は仏教思想にまで話は延びるので、私自身理解し損ねている部分がある。しかし、ディベートに関しての土台がほぼゼロなので、多くを得た。そして、こういったトレーニングは必須だと思えた。たとえば、ビジネス取引などで、ディベートレーニングを受けている人と渡り合った場合、普段の私のやり方では全く意見が通らないことが容易に想像できた。ただ、問題は意見が通らないことよりも、こういったディベートの方式が議論の(当然の)プラットフォームだと相手が受け止めている場合、私のことを議論の適切な相手だと考えなくなってしまうことがまずい。ディベートは、情動とは距離を置き、合理的に全体として最適解に向かっていく方法。だから、自分のアイデアを磨きたいがために「ちょっと聞いてくれ」と議論を持ちかけることもあるだろう。私には、その議論の相手に相応しくないと考えられてしまうのは不幸なことだと思われた。周囲の人と集団的に高め合っていくためにも、きちんと取り組んでおきたい。実践的にディベートを組む機会はなくても、意思決定の際に頭の中で、ひとりディベートをするという繰り返しはトレーニングになると思う。地道に進めておきたい。

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苫米地 英人
カーネギーメロン大学博士
脳機能学者


はじめに 超論理の思考が知的成果を無限大にする!
01 論理脳の強化で人は超人になれる!
02 ディベートこそ脳強化の最強の方法だ
03 論理脳を強化する! トゥルーミングロジック
04 超人脳ディベート実践編
05 「超論理」発想で人生をコントロール
06 脳の潜在能力を活かす頭のいい習慣
おわりに