日本は財政危機ではない! 高橋洋一

日本は財政危機ではない!
高橋 洋一
講談社
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財政再建は、債務である公債残高のGDP比を減らすこと。日本のバランスシートを見ると、債務は約1000兆円、資産は約700兆円(日本は他国に比べ資産を多く有している)。だから、純債務は約300兆円。負債が大きいことは世界で特別なわけではない。債務の対GDP比が重要になる。この点を見る場合、「粗債務の対GDP比」か「純債務の対GDP比」のどちらで見るかで変わる。「粗債務の対GDP比」で見ると(日本のGDPは500兆円あまりだから)160%ということになる(と本書にはある)。しかし、実質的な負債は純負債だから「純債務の対GDP比」で見るべきだ。すると、純債務は約300兆円なので、対GDP比は60%ということになる。著者は、60%という数字は決して低い数値ではないが、GDPの規模も大きい日本なら、適切な経済政策を実施し、経済成長を促せば管理できる数値であるとしている。

日本は役人の数が少ない。人口1000人あたりの公務員数はイギリスやフランスの半分以下(42.2人)。著者はむしろ、少ない人数の役人が大きな権限を有していることを指摘する。他国に比べて多くの資産を持つ日本。それは、外郭団体が非常に多いということも同時に意味する。そうした外郭団体に天下りが起きる。しかし、専門的な知識や能力のある役人が再就職して、第二の活躍の場とするならば非難すべきことではない。そうではない役人まで天下りするシステムに問題がある。なぜ、そういう役人まで天下りできるのか。それは、(役所は否定している)「お土産」を期待しているからだ。「お土産」とは補助金。そうした個別省庁による口利きを禁止するために「人材バンク」が提案された。人材バンク経由であれば、「お土産」は付いてこない。役人は「お土産」抜きで市場の判断を受けることになる。役所で受けている処遇の善し悪しにも、自身で気付くことになる。

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高橋 洋一
東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒
大蔵省入省
理財局資金企画室長、米プリンストン大学客員研究員、
国土交通省国土計画局特別調整課長、内閣府参事官などを歴任
博士(政策研究)
著書『さらば財務省!」など


まえがき 日本国の新の財務情報をこうかいするために
序章 「日本は財政危機」の嘘
01 財務省増税キャンペーン」の陰謀
02 埋蔵金を巡る政官の攻防
03 埋蔵金の全貌
04 増税の前に行なうべき税制改革
05 日本が甦る金融政策
06 官僚帝国の逆襲
07 官僚内閣制の脅威
終章 道州制で変わる日本の財政