最強ヘッジファンド LTCMの興亡 R.ローウェンスタイン

最強ヘッジファンドLTCMの興亡 (日経ビジネス人文庫) 900円 479p 01.11.05
・(当時)”ヘッジファンド”なる用語は有限責任パートナーシップの慣例上の呼び名。 そのうちの一握りは、20年代から運営されており、バリュー投資の父として知られるベンジャミン・グレアムが運営していたものがおそらく第1号。 〜ロングターム誕生
・LTに移った、当時FRBの副議長だったD.マリンズは、民間金融機関が”流動性問題”によって危うくなった場合、それを救済するのはFRBの使命のひとつ、とも述べていた。 〜ロングターム誕生
・証券間に関連はなくても、同じ投資家が保有しているということだけで、逆境時に連動すると考えていい。 分散を通じて安全確保するという考え方(LTの安全性の基盤)そのものが、見直しを必要とされていた。 〜連戦連勝
・LTのトレーダの一人は言う。 ヘッジをかけず、ロシア債を買っていた。 あまりにわが社の流儀からかけ離れた取引だった。 〜ボラティリティ中央銀行
・メリルのリスク・マネージャは言う。 LTが問題を起こそうなど考えても見ませんでした。 リスク管理の専門家として知られていた連中ですから。 リスク管理を教え、設計した当人ですからね。 なにせ、相手はノーベル賞受賞者ですよ! 〜人間心理の罠
・FRSは13年に創出された。 理由はいくつかあるが、基本的には一般の人々が民間銀行に金融市場の番人役を任せておけないと思うようになったからだ。 〜FRBにて
・フィッシャーは多くの取引が、同時に値を崩すのは不思議な現象だと思ったが、ポートフォリオをじっくり眺めるうちに、啓示のごとく、ふいに了解した。 LTは世界中いたるところで、同じスプレッド取引を行っていたのだ。 〜FRBにて
・あまり顧みられることのない事実だが、貸し手もまた、借り手にしばられている。 〜FRBにて
グリーンスパンFRBがLT救済の音頭をとったことで、モラル・ハザードが発生する、という悪影響以上に、LTの急な破綻で、市場が深刻な混乱に見舞われリスクのほうが重大と判断した。 〜エピローグ


R.ローウェンスタイン
金融ジャーナリスト、作家
WSJでコラムを連載
著書 『Buffett, Origins of the Crash』など


プロローグ
01 躍進
ジョン・メリーウェザー/ロングターム誕生/連戦連勝/投資家の皆様へ/融資合戦/ノーベル賞
02 奈落へ
ボラティリティ中央銀行/買い手がいない!/人間心理の罠/FRBにて
エピローグ 敗者復活
訳者あとがき/解説(牧野洋)/注