物理学者、ウォール街を往く。 E.ダーマン

物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進 2520円 423p 22.12.05
・物理学あるいはファイナンスの世界におけるいかなる発見も、発見後ほんの2、3年してから書かれた教科書を読めば明白なことのように見えるが、発見されるまではけっしてそうではないのだ。 〜ドッグ・イヤー

前半は物理学者としての歩み。 後半はウォール街での奮闘。 大学院〜研究所〜ウォール街と、著者の見た光景がありありと浮かんできます。 


The Great Office War


E.ダーマン
コロンビア大学金融工学プログラムディレクタ
コロンビア大学
理論物理学Ph.D
ベル研究所を経てゴールドマン・サックス入社
IAFE優秀金融工学者賞受賞
『リスク』誌ホール・オブ・フェーム受賞


日本語版への序文
プロローグ 2つの文化
物理学とファイナンスクオンツがしていること/ブラック=ショールズ・モデル/クオンツとトレーダー/純粋な思索と美しい数学は、物理学の法則を推測できる/ファイナンスにも同様の事が言えるのか?
01 親和力 Elective Affinities
科学の魅力/素粒子物理学の全盛期/野望に満ちた夢が動機で、コロンビア大学へ/伝説的物理学者と駆け出しの新進鬼才たち/才能と性格、計画と運
02 ドッグ・イヤー Dog Years
大学院生の生活/素晴らしい講義/天空の最も輝ける一等星=李政道/窮乏の7年間/半死半生の状況で大学院卒業
03 ある種の人生 A Short of Life
放浪の博士研究員(ポスドク)という聖職/研究は楽じゃない/もう少しで学会から消えてしまいそうなところで、論文の発表にこぎつける/共同研究から発見にこぎつけるという、えいにもいわれぬスリル
04 センチメンタルな教育 A Sentimental Education
オックスフォード大学の上品な魅力/1つの物理学論文が別の論文を生む/英国的特異体質/人智学者たち
05 上級官吏 The Mndarins
ニューヨークのアッパー・イーストサイドでの研究生活と子育て/いい生活だが・・・共働きによる緊張関係
06 より高位の世界における知恵 Knowledge of the Higher Worlds
2つの都市で暮らす家族/ニューエイジの瞑想/業(カルマ)/物理学との別れ
07 流刑地にて In the Penal Colony
産業の世界−愛よりも金のために働く/ベル研究所のビジネス・アナリシス・システム・センター/巨大な階層組織の中の小さな一部/ソフトウェアの開発は美しい
08 止まった時間 Stop-Time
ウォール街からの手招き/インベストメント・バンク(投資銀行)での面接
09 変身 Transformer
ゴールドマン・サックスのファイナンシャル戦略グループ(FSG)/オプション理論の習得/クオンツになるということ/トレーダーとの交流/新たな役者の個性
10 他の惑星への簡単な旅 Easy Travel to Other Planet
オプション理論の歴史/フィッシャー・ブラックとの出会いと彼との仕事/ブラック=ダーマン=トイ・モデル
11 環境の影響力 Force of Circumustance
ウォール街の慣習/知人たちのさらなる冒険/ボラティリティは伝染性のもの
12 厳しい上司 A Severed Head
ソロモン・ブラザースでの苦難の年/モーゲージ・モデルの開発/ソロモン・ブラザースのクオンツ・マーケットの実力/情け深い解雇
13 高度文明社会と不満 Civilization and Its Discontents
故郷としてのゴールドマン・サックス/軽量戦略グループのヘッド/株式デリバティブ/日経プット・オプションとエキゾチック・オプション/トレーダーとの協働/一分野としての金融工学
14 暗闇の中の笑い Laughter in the Dark
ボラティリティ・スマイルの謎/ブラック=ショールズ・モデルを超えて:オプションの局所ボラティリティ・モデルの開発レース/正しいモデルは見つけることが困難
15 過ぎし日の雪 The Snows of Yesteryear
ウォール街の整理統合/服装のカジュアル化/株式デリバティブ部門から全社リスク・グループへの異動/インターネット・バブルの崩壊/辞職
16 偉大なる見せかけ師 The Great Prefender
一巡してコロンビア大学へ/物理学と金融の再考/目的が異なれば要求精度も異なる/思考実験としての金融モデル
謝辞 監訳者あとがき 索引