サブプライム後に何が起きているのか 春山昇華

サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270) (宝島社新書) 680円 223p 24.04.08 
ヘッジファンドなどを通じた過去数年の証券化商品に対する乱脈投資振りを観察していると、「資本」と「負債」のそれぞれが負担するリスクと、享受するリターンのバランスがアンフェアなまでに「資本」に有利になっている。 つまり、手っ取り早く、不当に安くお金を借りることのできる状況にあったのだ。 〜「貸すより借りたほうが有利」な時代
証券化は悪ではないのだ。 「リスクを適性に再配分する」という素晴らしい機能であることに疑いはない。 ただし「適正に」という前提さえ維持されればだが。 〜証券化は「悪」ではない
・(訒小平に関して)「先富論」もよく引用される。 要約すると、実現可能なものから先に裕福になって、それ以外のものを助けようという考え方だ。 つまり幸福のためにリスクを恐れず先頭に立って道を切り開くもの(リスクテイカー)を応援しようという主張である。 〜「黒猫白猫」
・金融強国がコアの資本部分を押さえながらリスクをとって、より多くの果実を得る。 リスクをとらない臆病な金融弱国は、負債(借金)の形での出資を強制され、資本を持つ国にレバレッジを可能にする資金を提供するだけとなる。 〜消費をしまくるアメリカ経済と製造をしまくる中国経済
・日本が復活し成長するには、社会を引っ張るリスク・テイク族を増やさなければならない。 失敗を恐れず、何度でもチャレンジすることを後押しする社会になるべきなのだ。 〜知恵とお金を上手に結合することが重要


春山昇華
京都大学法学部卒
ロンドンで世界中の株と債権を組み込んだ国債分散投資に3年間従事
帰国後は、国内系、外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事。
投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍
現在は、金融機関で運用関連業務に関わる。


プロローグ 「借金をして利益を嵩上げ」する手法の終わり
01 窮地に陥った金融機関
02 突如として表舞台に登場した国富ファンド(SWF)
03 レバレッジ・バブルの「正体」
04 モノライン
05 世界金融維新
06 日本は昇るのか、沈むのか
あとがき