最強国家ニッポンの設計図 大前研一

最強国家ニッポンの設計図
大前 研一
小学館
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本書の副題は「ザ・ブレイン・ジャンパン建白」。これは、著者が設立しようとしている株式会社シンクタンクの名称。政策を提言し政党に選択させることが目的。株式会社としての配当は「すばらしい祖国」としている。現時点でどの程度進んでいるのかは分からないが、興味を持った人がウェブサイトからコンタクトできるようになっている[1]。BBT大学院大学及び来春に開校予定の大学との連携もあるのかもしれない。関連して、本書では、税金、年金問題道州制憲法や外交について議論されている。税金・年金に関した改善(再構築)提案はかなりドラスティックな改善内容。特に”辞退”を含んだ年金議論などは最近になって読者になった私には新鮮さがあった。

本書で触れられている提案内容は多岐にわたっており、どれも、無風で実現する提案というわけにはいかなそうだ。以前から本書にあるような提案をしてきた著者にすれば、乖離した現実に忸怩たる思いかもしれない。しかし、「So long Japan.」とはなっていない。ヴィジョンを持った提案であれば、痛みや急激な変化を伴うものであっても、それを乗り越えて開花していく潜在性が日本にはある、と著者が感じたからだろう。

今まで、頭の中で「シンクタンク」という単語と日本が結びついていなかったことに気がついた。金融機関系の調査会社が書いた本などは読んだことがあるのだけれど、そういった研究所自体の在り方や政策との関わり方を考えたことが無かった。本書はそれを考えるきっかけをくれた。

[1]ザ・ブレイン・ジャパンスタッフ募集


大前研一
早稲田大学理工学部卒業
東京工業大学大学院原子核工学科で修士号
MITで博士号を取得
マッキンゼーアンド・カンパニー・インク入社
94年退社
グローバルな視点と大胆な発想で活発な提言を行っている。


序章 日本は最強国家になれる!
01 「年金と税金」で国民の「安心と意欲」を作り出せ
02 経済を復興し、産業を興せ
03 教育と雇用 ー世界で大活躍する人材を育てろ
04 憲法改正道州制で「新しい国家のかたち」を作れ
05 最強国家にふさわしい「最強の外交・防衛戦略」とは何か
06 二度と世界金融危機を起さないボーダーレス経済の新理論
おわりに