ねじれ脳の行動経済学 古川雅一

行動経済学に関する新書。日常生活でありそうなワンシーンを取り上げ、その合理さを問う。合理的であることが必ずしも正しい分けではないが、「合理的である」つもりで「非合理的な」行動をしてしまうと、結果的に満足度を下げてしまうだろう。自分の選択が「合理的」なものか「非合理的」なものか認識しておくことが処方箋となる。

自分の過去の行動が即座に思い浮かんだのは、「認知不協和」の回避行動。認知不協和というのは、「自分の行動や知識と矛盾したものに遭遇すると不快感を覚える」体験。例えば、自身のない試験の結果発表日。本来なら、一刻も早く結果を知り、不合格なら(試験が終わった時点でそうするべきだが)次に向かって勉強を開始するというのが、「よい」行動に違いない。しかし、実際はどうかというと、なにかと理由をつけて、結果を調べるのを先延ばしにしようとする。悪い結果を見て、不快感をおぼえるのを回避しようとしているのだ。そういう弱さには、ぜひとも打ち勝ちたいものだ。しかしどちらかというと、楽勝だと思っていた試験が悪かった時の、あの不意打ちの方が堪え難い。私が読んだこの分野の本では、モッテルリーニ著『世界は感情で動く』が取っ付きやすく網羅的なのでベースになっている。

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古川 雅一
京都大学大学院経済学研究科修了
経済学博士
京都大学経済研究所にて研究中。
著書『わかっちゃいるけど、痩せられない』など


01 理不尽な上司 ー自信過剰
02 契約が取れない本当の理由 ー認知不協和
03 ひねくれ者は成功する ーフレーミング効果
04 損得を的確にとらえる方法 ー価値関数
05 あのビジネスは本当に儲かるのか ー利用可能性ヒューリスティック
06 見積もりなんて嘘だらけ ーアンカリング
07 都合よくとらえれば致命傷 ー確立加重
08 2年目のジンクス ー代表制ヒューリスティック
09 頑固になれば成功できる ー選好の変化とコミットメント
あとがき/証明/主な参考文献