Fixing Global Finance M.Wolf

Fixing Global Finance (Forum on Constructive Capitalism)
Martin Wolf
Johns Hopkins Univ Pr
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本書では、安定性のある世界金融経済に向けての提案がされている。国際金融市場の不安定さを構造的な問題として指摘。その裏付けとして、豊富な図表とその解説が詳しく行なわれている。主因は米国の負債の大きさであるが、借りる額を増やすだけでは世界的な収支不均衡(global imbalance)の改善には不十分。不可分であるマクロとミクロにおけるレジームは同時的に考える必要があり、また途上国自身が、海外資本の流入を安全に受け入れるために、政策決定や金融システムの強化を行なう必要がある。

現実を見て、実現可能なものから歪みを正していこうということだろうか。Liberal financeは手放しでは、あまり良くないようだ。しかし金融危機はどうやら不可避であり、改善の努力はむしろその頻度を下げることとダメージの軽減が目的となる。大きな黒字を抱える国は国内の投資先を探し、途上国は自国のシステムを向上させる。では、適用されるルールは市場によって差が生じないように統一されるべきだろうか。EUを中心に国際財務報告基準(IFRS)に100ヶ国ほどが準拠している。米国会計基準もこれに収斂する予定で、日本も 2011年を目処に統合されるそうだ。あまり詳しくないのだけれど、最初にこれを聞いた時に、上手くいくのか疑問に思った(その気持ちは今も)。世界金融経済の安定性を高めるためには同一規格を広めるよりも、いくつかの規格を知るエキスパートの育成が重要であるように思われた。同一規格にねじ込むために、さらに(小さくともたくさんの)歪みが生じるのではという危惧があるからだ。

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Martin Wolf
is a leading economic and financial journalist.
Since 1996 he has been chief economics commentator of the Financial Times,
having been chief economics leader writer from 1987-96.
He is the anthor of the bestselling 『Why Globalization Works』(2004),
also published by Yale University Press. (from cover)


Preface
01 Learning Lessons
02 Blessings and Perils of Liberal Finance
03 Financial Crises in the Era of Globalization
04 From Crises to Imbalances
05 Calm before a Storm
06 Toward Adjustment and Domestic Reform
07 Toward Global Reform
08 Toward a More Stable World
Notes/References/Index (from Contents)